二階の窓から

百人一首 1〜50

 鎌倉時代初期に藤原定家が選んだとされる『百人一首』。千年の時を経た現在でも、かるた・古典文学の学習等、様々な場面で目にします。この『百人一首』の百首すべてを品詞分解して、現代語訳・解説していきます。
 前半、50番まで。後半は☞『百人一首 51〜100』

番号 作者
1 秋の田の かりほの庵の とまをあらみ
わがころもでは 露にぬれつゝ
天智天皇
2 春すぎて 夏来にけらし 白妙の
ころもほすてふ あまのかぐ山
持統天皇
3 足引の 山鳥の尾の しだり尾の
ながながし夜を ひとりかも寝む
柿本人丸
4 田子の浦に うち出てみれば 白妙の
ふじのたかねに 雪はふりつゝ
山部赤人
5 おくやまに 紅葉踏分け なく鹿の
声きくときぞ 秋は悲しき
猿丸大夫
6 かさゝぎの わたせる橋に をくしもの
しろきをみれば 夜ぞふけにける
中納言家持
7 天の原 ふりさけみれば 春日なる
三笠の山に いでし月かも
阿倍仲麿
8 我庵は 都のたつみ しかぞすむ
世をうぢ山と 人はいふ也
喜撰法師
9 花のいろは うつりにけりな いたづらに
我身よにふる ながめせしまに
小野小町
10 これやこの 行くも帰るも わかれては
しるもしらぬも 相坂の関
蝉丸
11 わたのはら 八十嶋やそしまかけて 漕出ぬと
人にはつげよ あまのつりぶね
参議篁
12 あまつ風 雲のかよひ路 吹とぢよ
乙女のすがた しばしとゞめん
僧正遍昭
13 つくばねの 峰より落つる みなの川
こひぞつもりて 淵となりぬる
陽成院
14 陸奥の しのぶもぢずり 誰ゆへに
みだれそめにし 我ならなくに
河原左大臣
15 君がため 春の野に出て 若菜つむ
わが衣手に 雪はふりつゝ
光孝天皇
16 立別れ いなばの山の 嶺におふる
まつとしきかば 今かへりこむ
中納言行平
17 ちはやぶる 神代かみよもきかず 竜田川
からくれなゐに 水くゝるとは
在原業平朝臣
18 住の江の 岸による波 よるさへや
ゆめの通路 人めよく覧
藤原敏行朝臣
19 難波がた みじかきあしの ふしのまも
あはで此よを 過してよとや
伊勢
20 わびぬれば 今はた同じ 難波なる
身をつくしても あはむとぞ思ふ
元良親王
21 今こむと いひしばかり 長月の
有明の月を まちいでつるかな
素性法師
22 吹くからに 秋の草木の しほるれば
むべ山風を あらしと云ふらむ
文屋康秀
23 月みれば 千々に物こそ 悲しけれ
我身ひとつの 秋にはあらねど
大江千里
24 此たびは ぬさもとりあへず 手向山
紅葉のにしき かみのまにまに
菅家
25 名にしおはゞ 相坂山の さねかづら
人にしられで くるよしもがな
三条右大臣
26 をぐら山 峰の紅葉ば 心あらば
今ひとたびの みゆきまたなん
貞信公
27 みかのはら わきてながるゝ 泉河
いつ見きとてか こひしかるらむ
中納言兼輔
28 山里は 冬ぞさびしさ まさりける
人めもくさも かれぬとおもへば
源宗于朝臣
29 心あてに おらばやおらむ 初霜の
をきまどはせる しらぎくの花
凡河内躬恒
30 有明の つれなくみえし 別より
暁ばかり うきものはなし
壬生忠岑
31 朝朗 有明の月と 見るまでに
芳野の里に ふれるしら雪
坂上是則
32 山川に 風のかけたる しがらみは
ながれもあへぬ 紅葉なりけり
春道列樹
33 久堅の ひかりのどけき 春の日に
しづ心なく 花のちるらむ
紀友則
34 誰をかも 知る人にせむ 高砂の
松もむかしの ともならなくに
藤原興風
35 人はいさ こゝろもしらず 故郷は
はなぞむかしの かに匂ひける
紀貫之
36 夏の夜は まだ宵ながら 明ぬるを
雲のいづくに 月やどるらむ
清原深養父
37 白露に 風のふきしく 秋のゝは
つらぬきとめぬ 玉ぞちりける
文屋朝康
38 忘らるゝ 身をば思はず ちかひてし
人のいのちの おしくもあるかな
右近
39 浅茅生の をのゝしのはら 忍ぶれど
あまりてなどか 人のこひしき
参議等
40 しのぶれど 色に出にけり 我恋は
物やと思と 人の問迄
平兼盛
41 恋すてふ 我名はまだき 立にけり
人しれずこそ 思ひ初めしか
壬生忠見
42 契きな かたみに袖を しぼりつゝ
末の松山 なみこさじとは
清原元輔
43 あひ見ての 後の心に くらぶれば
むかしは物を おもはざりけり
権中納言敦忠
44 逢事の たえてしなくは なかなかに
人をも身をも うらみざらまし
中納言朝忠
45 哀れとも いふべき人は おもほえで
みのいたづらに なりぬべき哉
謙徳公
46 由良のとを 渡る舟人 かぢをたへ
行衛もしらぬ 恋のみちかな
曾禰好忠
47 やへ葎 しげれる宿の さびしきに
人こそ見えね あきは来にけり
恵慶法師
48 風をいたみ 岩うつ波の をのれのみ
くだけてものを おもふ比かな
源重之
49 みかきもり 衛士の焼火の 夜はもえ
昼は消つゝ 物をこそおもへ
大中臣能宣
50 君がため おしからざりし 命さへ
ながくもがなと おもひぬる哉
藤原義孝

後半は☞『百人一首 51〜100』

参考

東京書籍 『新総合 図説国語』 (監修:池内輝男 三角洋一 吉原英夫)
第一学習社 『新訂総合国語便覧(新版二訂)』 (監修:稲賀敬二 竹盛天雄 森野繁夫)
三省堂 『新明解 古語辞典 第三版』 (監修:金田一京助)
旺文社 『古語辞典 第十版』 (編:松村明 山口明穂 和田利政)
角川ソフィア文庫 『新版百人一首』 (訳注:島津忠夫)
角川選書 『百人一首で読み解く平安時代』 (著:吉海直人)

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文庫: 317ページ
出版社: 角川書店; 新版
ISBN-10: 404404001X
ISBN-13: 978-4044040017
発売日: 1999/11
商品パッケージの寸法: 15 x 10.6 x 1.4 cm

超訳百人一首 うた恋い。
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単行本(ソフトカバー): 141ページ
出版社: KADOKAWA/メディアファクトリー
言語: 日本語
ISBN-10: 4040664752
ISBN-13: 978-4040664750
発売日: 2010/8/4
商品パッケージの寸法: 21.2 x 14.8 x 1 cm

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