二階の窓から

022 吹くからに


吹くからに 秋の草木の しほるれば
むべ山風を あらしと云ふらむ

文屋康秀ふんやのやすひで

品詞分解

ふ  
吹く からに
接助
カ四
(連体形)
【格助】から+【格助】に
同時
あき くさき
草木
格助 格助
 
 
しほるれ
接助
形動「しほほなり」語幹
+接尾「る」(已然形)
順接
やまかぜ
むべ 山風
格助
【宜】
肯定
い  
あらし 云ふ らむ
【掛詞】 格助 助動
形「荒らし」(終止形)
+名「嵐」
ハ四
(終止形)
推量
(終止形)

現代語訳

(風が)吹くとたちまちに
秋の草木が
しおれてしまうので
なるほどそれで、山から吹く風のことを
荒らし(嵐)というのだろう。

作品の解説

出典『古今和歌集』秋下・249

「嵐」という漢字の成り立ちを、秋の野分のわき(=台風のこと)のあわれを込めつつ詠み上げた理知的な歌。

中国の六朝りくちょう時代(222〜589年)後期に、漢字の扁とつくりを切り離して詠み込む離合詩りごうしが流行しており、その影響を受けたものと思われる。

作者

文屋康秀ふんやのやすひで生没年未詳

六歌仙の一人だが、官位はあまり高くなかった。小野小町と親密にしていたようである。

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島津 忠夫 (翻訳)
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出版社: 角川書店; 新版 (1999/11)
言語: 日本語
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