吹くからに 秋の草木の しほるれば
むべ山風を あらしと云ふらむ
ふ | |
吹く | からに |
動 | 接助 |
カ四 (連体形) |
【格助】から+【格助】に 同時 |
あき | くさき | ||
秋 | の | 草木 | の |
名 | 格助 | 名 | 格助 |
しほるれ | ば |
動 | 接助 |
形動「しほほなり」語幹 +接尾「る」(已然形) |
順接 |
やまかぜ | ||
むべ | 山風 | を |
副 | 名 | 格助 |
【宜】 肯定 |
い | |||
あらし | と | 云ふ | らむ |
【掛詞】 | 格助 | 動 | 助動 |
形「荒らし」(終止形) +名「嵐」 |
ハ四 (終止形) |
推量 (終止形) |
(風が)吹くとたちまちに
秋の草木が
しおれてしまうので
なるほどそれで、山から吹く風のことを
荒らし(嵐)というのだろう。
出典『古今和歌集』秋下・249
「嵐」という漢字の成り立ちを、秋の野分(=台風のこと)のあわれを込めつつ詠み上げた理知的な歌。
中国の六朝時代(222〜589年)後期に、漢字の扁とつくりを切り離して詠み込む離合詩が流行しており、その影響を受けたものと思われる。
文屋康秀(生没年未詳)
六歌仙の一人だが、官位はあまり高くなかった。小野小町と親密にしていたようである。