をぐら山 峰の紅葉ば 心あらば
今ひとたびの みゆきまたなむ
やま |
をぐら山 |
名 |
【小倉山】 |
みね | もみぢ | |
峰 | の | 紅葉ば |
名 | 格助 | 名 |
【もみじ葉】 |
こころ | ||
心 | あら | ば |
名 | 動 | 接助 |
ラ変 (未然形) |
仮定条件 |
いま | |||
今 | ひとたび | の | みゆき |
副 | 名 | 格助 | 名 |
さらに。もう。 | 【一度】 | 【行幸】 |
ま | |
待た | なむ |
動 | 終助 |
タ四 (連用形) |
希望 |
小倉山の
峰のもみじ葉よ。
もし心があるならば、
もう一度(今度は醍醐天皇の)行幸を
待ってほしいよ。
出典『拾遺集』雑秋・1128
宇多上皇が大井川に御幸で訪れた際に、「ぜひ醍醐天皇も訪れて欲しい」と仰ったのを、貞信公がその旨を申し上げましょうと言って詠み上げた歌。
※天皇の外出は「行幸」、上皇の外出は「御幸」という。いずれも訓読みでは「みゆき」。
貞信公(880 - 949)
藤原忠平。貞信公は死後の諡。
温厚勤勉な性格で、兄の時平(菅原道真を陥れた あの藤原時平)の死後、氏の長者となってからは藤原氏全盛の礎を築いた。
歌にもその性格が表れており、温雅な作風である。