みかのはら わきてながるゝ 泉河
いつ見きとてか こひしかるらむ
みかのはら |
名 |
【瓶原】 |
なが | |||
わき | て | 流るる | |
動【掛詞】 | 接助 | 動 | |
「湧く」+「分く」 (カ四・連用形)【縁語→川】 |
「流る」ラ下二 (連体形) |
いづみがは |
泉河 |
名 |
(現在の木津川) |
み | |||||
いつ | 見 | き | と | て | か |
代名 | 動 | 助動 | 格助 | 接助 | 係助 |
「見る」マ上一 (連用形) |
過去 (終止形) |
疑問 |
こひしかる | らむ |
形シク | 助動 |
「恋し」 (連体形) |
現在推量 「か」の結び(連体形) |
瓶原から湧いて
瓶原を分けて流れるという泉河の(「いつ見」という)ように
いつ逢ったというので
(あなたのことが)こんなに恋しく思われるのだろうか。
出典『新古今和歌集』恋1・996
「泉河(いづみがは)」までの上三句は、「いつ見き」に繋げる序詞。
掛詞、同音を用いた序詞で、流麗に詠み上げられた恋の歌である。
中納言兼輔(877 - 933)
藤原兼輔。賀茂川堤に屋敷があったため、堤中納言とも呼ばれる。
延喜歌壇の中心的人物であり、紀貫之や凡河内躬恒らとの親交が深かった。三十六歌仙の一人。