二階の窓から

027 みかのはら


みかのはら わきてながるゝ 泉河
いつ見きとてか こひしかるらむ

中納言兼輔ちゅうなごんかねすけ

品詞分解

みかのはら
【瓶原】
なが   
わき 流るる
動【掛詞】 接助
「湧く」+「分く」
(カ四・連用形)【縁語→川】
「流る」ラ下二
(連体形)
いづみがは
泉河
(現在の木津川)
いつ
代名 助動 格助 接助 係助
「見る」マ上一
(連用形)
過去
(終止形)
疑問
こひしかる らむ
形シク 助動
「恋し」
(連体形)
現在推量
「か」の結び(連体形)

現代語訳

瓶原から湧いて
瓶原を分けて流れるという泉河の(「いつ見」という)ように
いつ逢ったというので
(あなたのことが)こんなに恋しく思われるのだろうか。

作品の解説

出典『新古今和歌集』恋1・996

「泉河(いづみがは)」までの上三句は、「いつ見き」に繋げる序詞。
掛詞、同音を用いた序詞で、流麗に詠み上げられた恋の歌である。

作者

中納言兼輔ちゅうなごんかねすけ(877 - 933)

藤原兼輔ふじわらのかねすけ。賀茂川堤に屋敷があったため、堤中納言とも呼ばれる。
延喜歌壇の中心的人物であり、紀貫之や凡河内躬恒おおしこうちのみつねらとの親交が深かった。三十六歌仙の一人。

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島津 忠夫 (翻訳)
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