名にしおはゞ 相坂山の さねかづら
人にしられで くるよしもがな
な | ||||
名 | に | し | おは | ば |
名 | 格助 | 副助 | 動 | 接助 |
強意 | 「負ふ」ハ四 (未然形) |
仮定条件 |
あふさかやま | |
相坂山 | の |
名 | 助動 |
【逢坂山】近江と山城の国境 ※「逢ふ」と掛ける |
さねかづら |
名 |
【真葛】 ※接頭語「さ」+「寝」と掛ける |
ひと | ||||
人 | に | しら | れ | で |
名 | 格助 | 動 | 助動 | 接助 |
「知る」ラ四 (未然形) |
受身 (未然形) |
打消 |
くる | よし | もがな |
動【掛詞】 | 名 | 終助 |
@「来」カ変(連体形) A「繰る」ラ四(連体形) |
【由】 | 願望 |
「あふ(逢ふ)坂山のさね(寝)かづら」という
(逢って寝るという)
名を持っているならば、
(さねかづらを繰るように)人に知られずに
(あなたのもとへ)やって来る方法があればいいのになあ。
出典『後撰集』恋3・700
真葛に添えて女のもとへ贈った歌だと思われる。
掛詞がたくさん織り込まれた、非常に技巧に凝った歌。
百人一首には相坂山をテーマにした歌が☞「010 これやこの」もある。
三条右大臣(873 - 932)
藤原定方。醍醐天皇の外叔父にあたる。屋敷が三条にあったため、三条右大臣と呼ばれるようになった。
紀貫之・凡河内躬恒の後援者を務めるなど、和歌の普及に努めた。