二階の窓から

行き行き重ねて行き行く

古詩

白文・書き下し 現代語訳 ノート

白文

行行重行行
与君生別離

相去万余里
各在天一涯

道路阻且長
会面安可知

胡馬依北風
越鳥巣南枝

相去日已遠
衣帯日已緩

浮雲蔽白日
游子不顧返

思君令人老
歳月忽已晩

棄捐勿復道
努力加餐飯

書き下し文

行き行き重ねて行き行く
君と生きながら別離べつり

相去あいさること万余里ばんより
おのおの天の一涯に在り

道路けわしく且つ長し
会面いづくんぞ知るべけんや

胡馬こば北風ほくふう
越鳥えっちょう南枝なんしに巣くふ

相去あいさること日にすでに遠く
衣帯いたい日に已に緩し

浮雲ふうん白日をおほ
游子ゆうし顧返こへんせず

君を思へば人をして老いせしむ
歳月たちますでれぬ

棄捐きえんして復たふこと勿からん
努力して餐飯さんばんを加へよ


現代語訳

(あなたは)行き行きさらに行き行く
君と生きながらにして分かれた

お互いに去って一万里あまり
それぞれの天の一方の果てにいる

(私とあなたを隔てる)道のりは険しく長い
いつ会えるかなんてどうやって知ることが出来ようか(知ることはできない)

胡の馬は北風を頼りに
越の鳥は南の枝に巣くう

お互いに去ってからは日増しに遠く感じられ
衣服と帯は日増しにゆるくなる(=私は日に日に痩せた)

浮雲は太陽をかくし
旅人は振り返らない

あなたを思うことは私を老いさせる
歳月はあっという間に過ぎ去った

(あなたへの想いは)うち捨てて二度と言わない
努力して食事を食べよ(=元気にしていてよ)


作品

出典 詩集『文選もんぜん』(撰:蕭統しょうとう)の無名氏「古詩十九首」その一より

作者は不詳。形式は五言古詩。
女性が去っていった夫に対してよんだ詩。


ノート

胡馬依北風 越鳥巣南枝とは?

「胡」とは北方の国のこと。
「越」とは南方の国のこと。
「胡の馬は北風を頼りにする」「越の鳥は南の枝に巣くう」というのは、いずれも故郷に根ざしているということ。

裏に隠された意図としては、
「あなたは故郷のことを想っていますか」というような望郷の念を問いかける気持ちだと考えられる。

浮雲蔽白日 游子不顧返とは?

「浮雲」=他の女
「白日」(太陽)、「游子」(旅人)=あなた(夫)

「他の女があなたを隠してしまい あなたは振り返らない(去っていった)」という意味。

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