足引の 山鳥の尾の しだり尾の
ながながし夜を ひとりかも寝む
あしびき | |
足引 | の |
名 | 格助 |
【枕詞→山】 |
やまどり | を | ||
山鳥 | の | 尾 | の |
名 | 格助 | 名 | 格助 |
を | ||
しだり | 尾 | の |
動 | 名 | 格助 |
ラ四 (連用形) |
よ | ||
ながながし | 夜 | を |
形シク | 名 | 格助 |
(終止形) |
ね | ||||
ひとり | か | も | 寝 | む |
名 | 係助 | 係助 | 動 | 助動 |
疑問 | 詠嘆 | ナ下二 (未然形) |
推量 (連体形) |
山鳥の尾の
長く垂れ下がっている尾の(ように)
たいへん長い夜を
(恋人と離れて)ひとりで寝ることであろうかなあ。
出典『拾遺集』恋3・778
「足引の」という枕詞から「山鳥の尾の」「しだり尾の」と続け「ながながし夜」につなげることで、序詞で秋の夜の長さを巧みに表現している。
当時、「山鳥は夜、雌雄が谷を隔てて寝る」といわれており、この習性が思いおこされていたと思われる。ちなみに、山鳥の尾が長いのは雄である。
柿本人丸(または人麿)・生没年不詳
7世紀末の宮廷歌人であり、行幸に従いさまざまなところで歌を詠みつつ、一生低い官位で過ごした。
万葉時代最大の歌人であり、『万葉集』には長歌18首、短歌約70首を残した。歌の神として神格化され、平安末期以降は「人丸影供」という礼拝が行われるほどであった。