二階の窓から

百人一首 048 風をいたみ


風をいたみ 岩うつ波の をのれのみ
くだけてものを おもふ比かな

源重之みなもとのしげゆき

品詞分解

かぜ
いた
格助 接尾
原因の主語 「甚し」の語幹 原因
いは う   なみ
打つ
格助
タ四
(連体形)
主格
 
をのれ のみ
副助
【己】 限定
もの
くだけ
接助 格助
カ下二
(連用形)
おも   ころ
思ふ かな
終助
ハ四
(連体形)
詠嘆
(終止形)

現代語訳

風がひどいので
岩を打つ波が
波の方だけ
砕けて(岩は平気なのをみて)、
(私は心を砕いているのに、あの女は平気でいることに) 思い悩んでいる今日この頃だなあ。

ポイント

「A(名詞)B(形容詞の語幹)」→「ABなので

作品の解説

出典『詞花集』恋上・211

波が岩に打ち付けて砕け散る様子を、自分の想いが女にぶつかって砕け散ることの比喩として用いて、片思いを嘆く歌。
藤原公任は『三十六人撰』にこの歌を選び上げていることから、高く評価していたようだ。
こういったことから勅撰集の『詞花集』に入選し、後世までひろく愛踊されるようになった。

作者

源重之みなもとのしげゆき(生年未詳-1000?)

清和天皇の皇子 貞元親王の孫。
976年の相模権守を皮切りに、筑前守など地方官を歴任。その後995年以降は藤原実方の陸奥守赴任に随行し、1000年頃陸奥で死没したようだ。
『拾遺集』以降の勅撰集に67首入集。三十六歌仙のひとり。

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島津 忠夫 (翻訳)
文庫: 317ページ
出版社: 角川書店; 新版 (1999/11)
言語: 日本語
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