二階の窓から

006 かささぎの


かさゝぎの わたせる橋に をくしもの
しろきをみれば 夜ぞふけにける

中納言家持ちゅうなごんやかもち

品詞分解

かささぎ
格助
主格
はし
わたせ
助動 格助
サ四
(已然形)
存続
(連体形)
を   しも
置く
格助
カ四
(連体形)
しろ  み  
白き 見れ
形ク 格助 係助
(連体形) マ上一
(已然形)
ふけ ける
係助 助動 助動
強意 カ下二
(連用形)
完了
(連用形)
詠嘆
「ぞ」の結び(連体形)

現代語訳

鵲が
(翼を連ねて)渡した橋(=天の川に渡したという伝説の橋)に
霜が降りたように
(天の川が)白くなっているのを見ると
夜もすっかり更けてしまったことだなあ。

作品の解説

出典『新古今和歌集』冬・620

この歌は、実は大伴家持の作かどうかは怪しい。
藤原公任が『三十六人撰』を選ぶに当たって、『万葉集』から家持歌をピックアップしているが、その中に入っていないのである。
また、『万葉集』の時代には「鵲」が詠まれた例は無く、平安時代以降に登場し始める。

「鵲の橋」というのは、中国の七夕伝説を踏まえたものだ。
鵲が翼を並べて天の川に橋を架けて、彦星を渡らせるという。

作者

中納言家持ちゅうなごんやかもち(718?-785)

大伴家持おおとものやかもち。政治的には様々な暗殺・乱の計画に関わったとされ、不遇な扱いを受けた。

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北山茂夫 (著)
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