二階の窓から

百人一首 034 誰をかも


誰をかも 知る人にせむ 高砂の
松もむかしの ともならなくに

藤原興風ふじわらのおきかぜ

品詞分解

たれ
代名 格助 係助 係助
疑問 詠嘆
し   ひと
知る
格助 助動
ラ四
(連体形)
サ変
(未然形)
意志
(連体形)
たかさご
高砂
格助
播磨国(現在の兵庫)
加古郡の高砂。
まつ むかし
係助 格助
 
とも
なら なく
助動 助動 接助
断定
(未然形)
打消
(連用形)
順接

現代語訳

誰を
昔からの知り合いとしようかなあ。
高砂の
松も(私と同じぐらい年を取っているが、)
昔からの友ではないしなあ。

作品の解説

出典『古今和歌集』雑上・909

別にぼっちというわけではなく、昔の友人がみな死んでしまい 孤独になった老人の嘆きの歌である。
「百年単位で生きている松と比べると、せいぜい百歳にも満たない老人では友にならない」、などの批評が昔からあるが、それは考えすぎだろう。

昔の友を失ってしまい、立派な老松を見て嘆く気持ちを素直に詠んだこの歌は、興風の代表作となった。

作者

藤原興風ふじわらのおきかぜ生没年未詳

寛平御時后宮歌合かんぴょうのおんとききさいのみやうたあわせ」(889年頃、記録に残る歌合わせでは日本で2番目に古い)以降に作品が残っている。
宇多天皇の歌壇で活躍。屏風歌の作品も残した。三十六歌仙のひとり。
管弦楽にも秀でていて、とくに琴を得意としていた。

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島津 忠夫 (翻訳)
文庫: 317ページ
出版社: 角川書店; 新版 (1999/11)
言語: 日本語
商品パッケージの寸法: 15 x 10.6 x 1.4 cm
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