誰をかも 知る人にせむ 高砂の
松もむかしの ともならなくに
たれ | |||
誰 | を | か | も |
代名 | 格助 | 係助 | 係助 |
疑問 | 詠嘆 |
し | ひと | |||
知る | 人 | に | せ | む |
動 | 名 | 格助 | 動 | 助動 |
ラ四 (連体形) |
サ変 (未然形) |
意志 (連体形) |
たかさご | |
高砂 | の |
名 | 格助 |
播磨国(現在の兵庫) 加古郡の高砂。 |
まつ | むかし | ||
松 | も | 昔 | の |
名 | 係助 | 名 | 格助 |
とも | |||
友 | なら | なく | に |
名 | 助動 | 助動 | 接助 |
断定 (未然形) |
打消 (連用形) |
順接 |
誰を
昔からの知り合いとしようかなあ。
高砂の
松も(私と同じぐらい年を取っているが、)
昔からの友ではないしなあ。
出典『古今和歌集』雑上・909
別にぼっちというわけではなく、昔の友人がみな死んでしまい 孤独になった老人の嘆きの歌である。
「百年単位で生きている松と比べると、せいぜい百歳にも満たない老人では友にならない」、などの批評が昔からあるが、それは考えすぎだろう。
昔の友を失ってしまい、立派な老松を見て嘆く気持ちを素直に詠んだこの歌は、興風の代表作となった。
藤原興風(生没年未詳 )
「寛平御時后宮歌合」(889年頃、記録に残る歌合わせでは日本で2番目に古い)以降に作品が残っている。
宇多天皇の歌壇で活躍。屏風歌の作品も残した。三十六歌仙のひとり。
管弦楽にも秀でていて、とくに琴を得意としていた。