心あてに おらばやおらむ 初霜の
をきまどはせる しらぎくの花
こころ | |
心あて | に |
名 | 格助 |
心して。 慎重に。 |
お | お | |||
折ら | ば | や | 折ら | む |
動 | 接助 | 係助 | 動 | 助動 |
ラ四 (未然形) |
順接仮定条件 | 疑問 | ラ四 (未然形) |
意志 「や」の結び(連体形) |
はつしも | |
初霜 | の |
名 | 格助 |
主格 |
お | ||
置き | まどはせ | る |
動 | 動 | 助動 |
カ四 (連用形) |
サ四 (已然形) |
存続 (連体形) |
しらぎく | はな | |
白菊 | の | 花 |
名 | 格助 | 名 |
心して
折るならば折ろうか。
初霜が
降りて(見分けが)分からなくしている
白菊の花を。
出典『古今和歌集』秋下・277
「白い初霜が降りて、どれが白菊か見分けがつかない」という非現実的なことを言い、初霜と白菊 両方の「白さ」の気品ある清々しさを詠み上げている。
菊を霜に見立てる表現は漢詩(平安貴族皆大好き 白居易『白氏文集』)にもあり、これを参考にしたのではないかという説もある。
白文
満園花菊鬱金黄
中有孤叢色似霜書き下し文
満園の花の菊鬱金のごとく黄なり
中に孤叢有りて色霜に似る
凡河内躬恒( 生没年未詳 )
894年の甲斐少目から925年の淡路権掾まで、下級役人を歴任した。
『古今和歌集』の撰者の一人で、三十六歌仙の一人でもある。
紀貫之と親しく、中納言兼輔(☞27番 みかのはら の作者)の屋敷に出入りして屏風歌を多く詠進した。
鴨長明は『無名抄』で躬恒・貫之優劣論を書いており、源俊頼(☞『俊頼髄脳』 の作者)や