二階の窓から

019 難波がた


難波がた みじかきあしの ふしのまも
あはで此よを 過してよとや

伊勢いせ

品詞分解

なには   
難波がた
【難波潟】
みじかき あし
格助
ク活用(連体形) 【葦】
ふし
格助 係助
【節】 【間】
あ  
逢は (の)
接助 代名 格助 格助
ハ四
(未然形)
【世】
すぐ  
過し てよ
助動 格動 係助
サ四
(連用形)
完了
(命令形)
疑問

現代語訳

難波潟の
短い葦の
節と節の間のような(短い)間も
逢わずにこの世を
(寂しく)過ごして終えよというのか。
(私はこんなに恋い慕っているのに)

作品の解説

出典『新古今和歌集』恋1・1049

「難波潟」とは現在の大阪湾の入江。昔は干潟となっており、葦が茂っていたという。
当時、葦は節と節の間が短いと考えられており(本当は短くないのだが)、比喩を巧みに駆使することで、短さの表現をしている。
そこから、燃え上がる恋心の強さが思い浮かぶ歌だ。

作者

伊勢いせ(生没年未詳 872? - 938?)

藤原継蔭の娘。宇多天皇の中宮温子に仕え、温子の兄 仲平と交際をした。
その後、宇多天皇の寵愛を受けて皇子を生んだがこれは早くして亡くなる。
さらにその後には宇多天皇の皇子 敦慶親王と結婚して、女流歌人として名を馳せた中務なかつかさを生んだ。

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島津 忠夫 (翻訳)
文庫: 317ページ
出版社: 角川書店; 新版 (1999/11)
言語: 日本語
商品パッケージの寸法: 15 x 10.6 x 1.4 cm
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