二階の窓から

百人一首 037 白露に


白露に 風のふきしく 秋の野は
つらぬきとめぬ 玉ぞちりける

文屋朝康ふんやのあさやす

品詞分解

しらつゆ
白露
格助
草花についた
白く光る露。
かぜ ふ   し  
吹き 頻く
格助
主格 カ四
(連用形)
カ四
(連体形)
あき
格助 係助
 
つらぬ   と  
貫き 止め
助動
カ四
(連用形)
マ下二
(未然形)
打消
(連体形)
たま ち  
散り ける
係助 助動
強意 ラ四
(連用形)
詠嘆
「ぞ」の結び(連体形)

現代語訳

草の葉の上についた露に
風が吹きしきる
秋の野は、
(糸に)貫き止めていない
玉が散るよう(で美しい景色)だなあ。

作品の解説

出典『古今和歌集』秋中・308

白露が秋風で光り落ちる様子を、直接は歌い上げずに「貫き止めぬ玉」が散る比喩で表現している。

寂しい秋の野の中に、白露の美しさを見つけたところに、なんとも趣のある歌だ。
藤原定家はこの歌をとても風情があると高く評価していたようで、自身の様々な歌集に選び入れている。

作者

文屋朝康ふんやのあさやす生没年未詳

文屋康秀の息子。
あまり伝記が残っておらず、『古今集目録』に892年に駿河掾、902年に大舎人大允おおとねりのだいじょうに任じられた以外は伝不明。

寛平御時后宮歌合かんぴょうのおんとききさいのみやうたあわせ』などの歌合わせで歌を詠んでいる記録があり、歌人としては名を馳せていたようである。

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島津 忠夫 (翻訳)
文庫: 317ページ
出版社: 角川書店; 新版 (1999/11)
言語: 日本語
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