二階の窓から

016 たちわかれ


立別れ いなばの山の 嶺におふる
まつとしきかば 今かへりこむ

中納言行平ちゆうなごんゆきひら

品詞分解

た   わか 
立(ち) 別れ
接頭
強意 ラ下二
(連用形)
やま
いなば
【掛詞】 格助 格助
名「因幡」
ナ変動「去な」(未然)+接助「ば」
みね
おふる
格助
ハ上二「生ふ」
(連体形)
まつ きか
【掛詞】 格助 接助
名「松」
タ四動「待つ」(終止)
強意 カ四「聞く」
(未然形)
仮定
いま
かへり
助動
ラ四「帰る」
(連用形)
カ変「来」
(未然形)
意志

現代語訳

(私は)いまお別れして
因幡の国へ去るが、その因幡の山の
峰に生えている
松のように私を待っていると聞くならば
今すぐに帰ってこよう。

作品の解説

出典『古今和歌集』離別・365

別れの挨拶の歌。

855年、行平が38歳のときに因幡の守となり任地へ向かう際に詠まれたと思われる。一首のうちに2つの掛詞(いばな、まつ)が登場する技巧に凝った歌だ。

作者

中納言行平ちゆうなごんゆきひら(818-893)

在原氏。業平の兄。
881年、在原氏の学問所として奨学院を創設した。これは藤原氏の勧学院にならったもの。

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島津 忠夫 (翻訳)
文庫: 317ページ
出版社: 角川書店; 新版 (1999/11)
言語: 日本語
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