二階の窓から

五言絶句
竹里館ちくりかん

おう

白文・書き下し 現代語訳 ノート

白文

独坐幽篁裏
弾琴復長

深林人不知
明月来相

書き下し文

ひと幽篁ゆうこううち
きんだん長嘯ちょうしょう

深林しんりん 人知らず
明月めいげつ 来たりて相照あいてらす

☝ 押韻

嘯(shou)、 照(shou)

細かい漢詩のルールについては 漢詩のルールと詩型で解説しています。


現代語訳

ただ一人で座る 静かで広い竹林の中で
琴を弾き その上に重ねて声を長く伸ばして詩を口ずさむ。

この深い森の趣を 世間の人々は知らない。
明るい月が昇ってきて 私を照らしてくれる。


作品

盛唐の詩人、おう(701 - 761?)の作。あざな摩詰まきつ
静謐な自然を詠み上げた歌を得意としたため、「詩仏」とも呼ばれた。

五言絶句。

ノート

 「竹里館」は王維の別荘。竹林の中に建っていた。世間から遠ざかった竹林の中で、一人座って琴を弾き詩を読む。そこに月の光が降り注ぐ。
 静かな自然の中の光景と、清らかな心情が思い浮かぶ。

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文庫: 288ページ
出版社: 岩波書店
ISBN-10: 4003200314
ISBN-13: 978-4003200315
発売日: 1972/10

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