独坐幽篁裏
弾琴復長嘯
深林人不知
明月来相照
独り坐す 幽篁の裏
琴を弾じ 復た長嘯す
深林 人知らず
明月 来たりて相照らす
ただ一人で座る 静かで広い竹林の中で
琴を弾き その上に重ねて声を長く伸ばして詩を口ずさむ。
この深い森の趣を 世間の人々は知らない。
明るい月が昇ってきて 私を照らしてくれる。
盛唐の詩人、王維(701 - 761?)の作。字は摩詰。
静謐な自然を詠み上げた歌を得意としたため、「詩仏」とも呼ばれた。
五言絶句。
「竹里館」は王維の別荘。竹林の中に建っていた。世間から遠ざかった竹林の中で、一人座って琴を弾き詩を読む。そこに月の光が降り注ぐ。
静かな自然の中の光景と、清らかな心情が思い浮かぶ。