夫和歌者、託其根於心地、發其花於詞林者也。人之在世不能無爲、思慮易遷、哀樂相變。感生於志、詠形於言。是以逸者其詞樂、怨者其吟悲。可以述懷、可以發憤。
動天地、感鬼神、化人倫、和夫婦、莫宜於和歌。
天地を動かし、
そもそも和歌というものは、その根源を心という地面に支えられ、言葉という林に開いた花である。人が世間にいる限り、何もしないということはできない。思考は絶えず変わってゆき、悲しいこと楽しいことが転々と入れ変わる。感情は心に生まれ、その結果歌として言葉に表れる。だから順境にあって楽しい者の声は楽しげで、恨みを抱えた者の歌は悲しい。こうして(歌によって)自分の思いを表現でき、憤りを示すことができる。
天地を動かし、死者の霊魂を感動させ、人道を導き、夫婦の中を和やかにすることにおいて、和歌よりもふさわしいものは無い。
905年、
撰者は
『万葉集』が素朴で力強い「
掛詞、縁語、比喩などの表現技法が駆使されており、芸術性を追求した歌が多いのが特徴だ。
真名序は『古今和歌集』の序文として書かれた漢文。「真名」は漢字のこと。(⇔「仮名」はひらがな)
紀淑望が執筆したという説が有力だが、撰者ではない淑望が序文を書いた理由は諸説ある。淑望の父が、菅原道真の弟子・
この『真名序』を元に、紀貫之が『☞ 仮名序』を記したという説が有力。内容はほぼ一緒だ。
植物に関連した比喩を4つ(「根」「地」「花」「林」、縁語)使っている。
和歌は、其 の根を心地 に託し、其の花を詞林 に発 く