二階の窓から

百人一首 053 嘆きつゝ


嘆きつゝ ひとりぬるよの あくるまは
いかに久しき ものとかはしる

右大将道綱母うだいしやうみちつなのはは

品詞分解

なげ  
嘆き つつ
接助
カ四
(連用形)
継続
ぬ  
ひとり 寝る
格助
ナ下二
(連体形)
あ   
明くる
係助
カ下二
(連体形)
ひさ   
いかに 久しき
形シク
(連体形)
し  
もの 知る
格助 係助 係助
疑問 ラ四
「か」の結び(連体形)

現代語訳

嘆きながら
ひとりで寝る夜の
明けるまでの間が
いかに長いものか
あなたは知っていますか。

作品の解説

出典『拾遺集』恋4・912

夫の兼家が、こそこそと他の女の家に通い始めて3日帰らず、ようやく帰ってきたときの怒りを詠んで、色褪せた菊に挿して贈った歌。
詳しくは本人の日記『蜻蛉日記』の ☞うつろひたる菊 に詳しいストーリーがあるのでこちらを参照。

作者

右大将道綱母うだいしやうみちつなのはは(937? -995)

藤原道綱母。 陸奥守 藤原倫寧ともやすの娘。
954年に藤原兼家と結婚し、翌年に道綱を生んだ。
自身と兼家との結婚生活を綴った自叙伝風の『蜻蛉日記』は、日記文学の先駆けといえる。

和歌の名人としても名高かった。『拾遺集』以下の勅撰集に36首入集。

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島津 忠夫 (翻訳)
文庫: 317ページ
出版社: 角川書店; 新版 (1999/11)
言語: 日本語
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