二階の窓から

3.世界の農業

(1)農業の成立条件


a)自然条件

農業を営む上で、気温降水量地形土壌の4つの条件を満たす必要がある。

@気温

耕作限界:最暖月平均気温10℃(森林限界)とほぼ一致
→D気候が限界といってよい

・作物による適温

積算温度生育期間中日平均気温の和)
米は2400℃以上、小麦は1800℃以上が必要。

・極限界

品種改良(小麦 ガーネット種
技術革新(ヤロビ農法
などによって、農地の拡大が進んでいる。

A降水量

乾燥限界:年降水量が250mm以下の地域では耕作が行われない。
250mm〜500mmでは牧畜
500mm〜1000mmでは畑作
1000mm以上では稲作
が主に行われる。

農業と降水量

灌漑・乾燥農法の開発などにより、農地拡大が進んでいる。

B地形

急峻な山地では農業を営むことが困難である。また、傾斜地では土壌侵食が起こるため、その防止が必要となる。
例)棚田(ジャワ島など)、等高線耕作(アメリカ)

C土壌

農耕に不適:ポドソル・ラトソル
農耕に適:褐色森林土

作物の適正

レグール土 → 綿花
テラローシャ → コーヒー
など

b)社会条件

@民族の伝統、生活の相違

モンスーンアジア → 稲作文化
ヨーロッパ → 牧畜文化(有畜農業)

A市場との距離

市場に近いほど集約的、遠いほど粗放的となる。

例題
豆知識

作物Aと作物Bの転換地点

1kg・1km(1kgのものを1km運ぶのにかかる運賃)
= 10円とする。
以下の架空の作物A、Bが栽培されるのはどこまでか、求めてみよう。

作物A 作物B
価格 600円/kg 1000円/kg
面積aあたりの
収穫量
3kg 1kg
面積aあたりの
輸送費
30円/km 10円/km

都市からx [km]地点での面積aあたりの儲けをy [円]とすると、

作物A:y = 1800 – 30x
作物B:y = 1000 – 10x

この連立方程式を解くと、

x = 40 [km]
y = 600 [円]

となり、都市から40km以内では作物A、40km以遠では作物Bの栽培が行われるということになる。

農作物の栽培転換地点

チューネンの「農業立地に関する孤立国」

という前提条件のもとで、都市周辺にどのような農業が立地するかを論じた。

チューネンの孤立国

都市近郊では新鮮なもの または 重量物
郊外へ向かうにしたがって粗放的となる。

(参考)コラム ☞立地論とどこでもドア
チューネンの「孤立国」を現代の都市に応用したらどうなるか、解説をしています。

B経営形態

ホイットルセーは、世界の農業を

を指標に、13種に区分した。

大まかにわけて

  1. 自給的農業
  2. ヨーロッパ起源の商業的農業
  3. 新大陸・熱帯の企業的農業(いわゆるプランテーション)

の3つに分類される。

特徴栽培手法主な分布地域
自給的農業 経営規模小 人力・畜力 アジア・アフリカ
商業的農業 合理的 有畜農業 ヨーロッパ
企業的農業 経営規模大 大型機械 新大陸
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