二階の窓から

(2)自給的農業


a.移動式焼畑農業

特徴

乾期の始まり:森林伐採
乾期の終わり:火入れ
草木の灰を肥料として利用する

作物

キャッサバ、ヤムイモ、タロイモなど

分布

アマゾン川、コンゴ川流域、カリマンタン島、ニューギニア島など

問題点

近年の人口増加により、自然休閑が充分に取れなくなっている
→砂漠化の原因

※焼畑農業自体は持続可能であり、必ずしも砂漠化の原因となるわけではない。
自然休閑の不足が問題


b.原始的定住農業

a.移動式焼畑農業が、肥沃な土地を発見 or 他民族との接触などによって定住化したもの。

作物

自給的作物 + 商品(換金)作物(バナナ、カカオなど)


c.遊牧

草と水を求めて家畜とともに移動する、粗放的牧畜

旧大陸のBS〜Aw気候地域

地域 主な家畜 特徴
モンゴル ウマ・ヒツジ・ヤギ 移動式テント ゲル(パオ)
中央アジア ヒツジ・ヤギ 移動式テント ユルト
アラビア半島 ラクダ・ヒツジ・ヤギ 遊牧民はベドウィン族と呼ばれる

高山地域

地域 主な家畜
アンデス高地 リャマ役畜)・アルパカ織物用
ヒマラヤ
チベット高原
ヤク

寒冷地域

少数民族(イヌイット・サモエード・サーミなど)によるトナカイの遊牧
夏はツピクといわれるテント
冬はイグルーといわれる氷のかまくら(ピングーが住んでるやつ)に居住する。


d.オアシス農業

乾燥地域のオアシス

の周辺に分布する。主な作物はナツメヤシなど。

◎ナイル川流域

夏は米、冬は小麦・綿花など

アスワンハイダム(1970年完成)による通年灌漑により、洪水・干ばつの防止が図られた。
ただし、以下の欠点があり問題化している。


e.アジア式農業(集約的自給的農業)

経営規模が小さく、自給的・労働集約的な傾向

◎中国

広大な国土の約17%が耕地、約43%が牧草地。

ロッシング・バックによる区分
中国の降水量・気温と農業地域

年降水量800mm前後(チンリン山脈・ホワイ川付近)を境に、水稲地区と小麦地区に分かれる。

四化運動

水利化、電化、化学化、機械化の4つの近代化運動のこと。

◎東南アジア

ホン川、メコン川、チャオプラヤ川、エーヤワディー川の沖積平野
浮稲の栽培が盛ん。

タイは米の輸出世界1位。
米の流通においては華僑かきょうが力を持っている。

緑の革命

1966年、国際稲研究所(IRRI)が高収穫品種、IR-8(奇跡の米)を開発した。
ただし、IR-8は多くの水・肥料・農薬が必要であり、買える農民と買えない農民の間での格差拡大に繋がった。

◎インド

国土の約57%が耕地、約4%が牧草地。

インドの降水量と農業地域

封建的な大土地所有制(ザミンダール制)が残存しており、灌漑施設整備・栽培技術発展の妨げとなっている。

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単行本: 379ページ
出版社: 京都大学学術出版会 (2011/03)
ISBN-10: 487698851X
ISBN-13: 978-4876988518
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