今はたゞ おもひ絶なん とばかりを
人づてならで いふよしもがな
いま | ||
今 | は | たゞ |
名 | 係助 | 副 |
おも | た | ||
思ひ | 絶え | な | む |
動 | 動 | 助動 | 助動 |
ハ四 (連用形) |
ヤ下二 (連用形) |
完了 (未然形) |
意志 (終止形) |
と | ばかり | を |
格助 | 副助 | 格助 |
限定 |
ひと | ||
人づて | なら | で |
名 | 助動 | 接助 |
断定 (未然形) |
打消 |
い | ||
言ふ | よし | もがな |
動 | 名 | 終助 |
ハ四 (連体形) |
方法。 | 願望 |
今はもう
『あきらめて思い切ってしまおう』と
それだけでもいいから
人づてではなくて(直接あなたに)
言う方法があればなあ。
出典『後拾遺集』恋3・750
三条天皇の皇女、前斎宮当子内親王とこっそり逢瀬を重ねていたが、それが帝にばれて守りがついてしまい、通うことが出来なくなってしまった。
もう会えない絶望的な気持ちを、そのまま詠み上げた歌。
左京大夫道雅(992 - 1054)
藤原道雅。 藤原伊周の息子。
祖父の関白 道隆に大変気に入られていたが、3歳の時に祖父が逝去。翌年には父が失脚し、没落する家で成長した。
皇女との密通のみならず、暴行事件を企てた疑いがあったり、賭博のいざこざで喧嘩を起したりと、とにかく乱行が絶えず、裏で「悪三位」とも呼ばれていたらしい。
勅撰集には6首のみの入集だが、自身で歌合わせを催すなど、歌には熱心だったようだ。