都会は埃が多い。このあいだ空気清浄機を買ったけど、それでも溜まる。都会は埃を無限に生み出し続けるらしい。困ったものだ。でも出るものはしょうがないから、掃除するしかない。ところがこれには大きな壁があった。何しろ我が家の掃除機(紙パック式)は古くて重いので、引っ張り出して掃除するのも面倒だったのである。
でも、今の掃除機って、サイクロンとかが内蔵されてて、たぶん凄いんじゃない? でも、サイクロン式掃除機って、どれを買えばいいのか分からん! というところから始まった。
家電というのは何にしても奥が深いもので、だからこそ「家電芸人」なんてのも現れたほどである。掃除機界隈もやはり色々なメーカーが色々な製品を出している。そして、「サイクロン式掃除機の
じゃあダイソンを買えばいいじゃないか、という話になりそうだが、残念ながらそうは問屋が卸さない。もちろん権威を振り回せるだけ良い製品なんだろうけど、それにしてもべらぼうに高い。「吸引力が落ちない唯一の掃除機」などというありがた〜い謳い文句で殿様商売をしていやがる。許せない。
そうなると、目が向くのは国内家電メーカーだが、今度は一気にライバルがひしめき、非常に選択に悩むことになる。各社のスペックと筆者の勝手な印象を下にまとめてみよう。
メーカー名 | 主力価格帯 ※16年1月 | 重量 | 吸引仕事率 | 特徴 ※筆者の独断と偏見 |
---|---|---|---|---|
シャープ | 2〜3万円 | 3.4kg (EC-NX500) |
300W | プラズマクラスター付。 空気清浄機に付いてるし、いらない。 |
ダイソン | 7万円 | 2.7kg (CY24MH) |
非公開 (200W程度?) |
スペックの数値は低いが、ヘッドが床に密着してすごく吸うらしい。 でもべらぼうに高い殿様商売。 |
東芝 | 3万円 | 3.3kg (VC-SG512) |
200W | 「トルネオ」の名は聞いたことがある。 スペックにはあまり特色がない。 |
日立 | 3〜5万円 | 3.5kg (CV-SA300) |
400W | 吸引仕事率が抜群に高い。 さすがはモーターの日立。 |
パナソニック | 3〜4万円 | 2.6kg (MC-SR33G) |
200W | どの機種もえらく軽量。上位機種はLEDライト装備。 |
三菱電機 | 2〜5万円 | 2.4kg (TC-EXE8P) |
310W | パナソニックよりさらに軽量。その割に、吸引力は高いみたい。 |
こうして並べてみると、ダイソンを除いて値段はだいたい横並びだ。まず、価格がお高いダイソンは選択肢から外れた。次に、特徴のないシャープと東芝が選択肢から消えた。お手入れのしやすさとか、色々な指標がありそうだが、簡単に比較するためにはスペック至上主義にならざるを得なかったので、その点はご了承をお願いしたい。
そうすると残ったのは、日立・パナソニック・三菱電機である。この3社は各社特色が出ていて、正直、何かに秀でた掃除機が欲しいというならこの中だなあという感じだ。
まず、パナソニック・三菱電機は抜群に軽いというのが大きな特徴。シャープ・東芝・日立の掃除機と比べて1kgほど軽い。これはすごい気がする。さらにパナソニックは、上位機種にLEDがついていて、暗いところの掃除も明るく見える、なんて機能がついていたりする。その分、ややお値段が高め。
次に、日立だが、こちらは吸引仕事率が高い。さすがは新幹線のモーターも作っている日立だ。
吸込仕事率=真空度×風量×0.01666で計算されるらしい。正直、真空度とは、風量とは何?(単位も不明)という感じだが、とりあえず真空度と風量、この二つが指標となっているということ。ダイソンのようにヘッドの密着度で補っているという例外はあるらしいが、同じ価格帯であればヘッドの性能にそれほどの違いないだろうから、同価格帯の商品を比較するときはこの「吸引仕事率」を吸引力の指標として使って差し支えはなさそうだ。
あとは結局何を重要視するか、というところになってくる。我が家はほぼ全室がカーペットで、カーペットにゴミが絡まってなかなか取れないという悩みがあったので、吸引仕事率の高い日立を選んだ。
購入したのはちょっと型落ち気味のCV-SA300だ。6年ぐらい前の掃除機を使っている我が家に、最新機種など要らない。
サイクロン掃除機、買うときに気になっていた「静かか」・「ちゃんと吸うか」・「お手入れは楽か」という3点(たぶん、どなたも気にするポイントだろう)についてレビューしてみる。
静か。日常生活で困ることはないだろう。
どのぐらい静かかというと、最初電源を入れたとき、まず「強」で吸い始めるんだけど、その音が静かで、これは「中」だよね? って思ってたくらい。といえばおわかりいただけるだろうか。
めちゃよく吸う。
ブラシが2つついてて、これがきっちり埃を掻き出してくれてるのを実感した。部屋の隅に溜まっていた埃がごっそり取れたのには驚いた。
それから、最近の掃除機はどこのメーカーもそうみたいだけど、勝手に進んでいく(自走式パワーブラシというらしい)。床に接地していると、ブラシの部分に何やら電動のローラーが付いているらしく、勝手に進んでいく。勝手に。そう、勝手に……。自堕落な人間が、勤勉な機械に半ば強制的に掃除させられているような感じで、これはすごい。やる気無く掃除を始めると、ぐいぐいと掃除機の方が進んで行ってしまうので、ちょっと気後れしてしまう。なんかね、こう……犬を散歩してるような感じ(犬飼ったこと無いけど)。ルンバといい勝手に進んで充電器に戻っちゃうくらいだし、そういう時代なのかな。
基本的には簡単。タンクはボタン一つで簡単に外れ、さらにタンクの蓋もボタン一つで開いてしまうので、ポンポンッと捨てられる。
タンクが透明で、中が見えるというのも面白い。こんなにゴミ吸ってるの……えっ、私の部屋、汚すぎ!? と驚く。
ただし、「基本的には」というのがミソで、掃除機が指示している「ゴミ捨てライン」を無視して掃除をすると悲惨なことになる。上の写真がゴミを溜めるタンクなのだが、このゴミ捨てラインより上にゴミが溜まってしまうと、構造上ゴミが出にくくなっている。紙パックならガンガン吸って、パンパンになってもまだまだ吸って、パック代をケチるのじゃ! みたいな精神こそが正義であったけれど、サイクロン式ではそれは通用しない。こまめに捨てようね。
それから、タンク掃除用の付属ブラシがおもちゃみたいな小ささ。こんな小さいブラシじゃ困るね。結局手入れするときは手でごそごそゴミを掻き出して、後で手を洗ってる。紙パックの場合、パックを捨てれば終わりでこういうお手入れは不要なので、そこはちょっと面倒かもしれない。